「空き家税が始まると聞いたけれど、自分が所有している空き家にもかかるの?」
「固定資産税が6倍になる話と、空き家税は同じもの?」
空き家を所有していると、新しい税金のニュースが気になる方は多いはずです。
空き家税は、国が全国一律に課す税金ではなく、自治体が条例で独自に設ける税金です。
本記事では、空き家税の仕組みと最新の導入状況、対象になる空き家・ならない空き家、税額の計算方法、課税が始まる前に空き家を手放す方法を解説します。
空き家税とは?
空き家税とは、人が住んでいない住宅の所有者に対して、自治体が独自に課す税金の通称です。
国の法律で全国一律に課される税金ではなく、条例を定めた自治体だけで導入されます。
空き家税の基本的な仕組みと、混同されやすい「固定資産税が6倍になる」制度との違いを整理しましょう。
現在導入している自治体の空き家だけが対象
空き家税は、地方税法にもとづく「法定外税」として、各自治体が条例で定める税金です。
空き家を持っている人すべてにかかるわけではなく、条例を定めた自治体の区域内にある空き家だけが対象になります。
2026年10月時点で条例が成立しているのは、次の2市です。
「空き家税」は通称で、正式な名称は自治体ごとに異なります。
2市とも、税収を増やすことよりも、使われていない住宅の売却や賃貸を促し、住みたい人へ住宅を行き渡らせることを目的としています。
法定外税
地方税法で定められた税目(住民税や固定資産税など)とは別に、自治体が条例で独自に新設できる税金です。
新設するには、条例を制定したうえで総務大臣と協議し、同意を得る必要があります。
宿泊税や産業廃棄物税なども法定外税にあたります。
固定資産税・都市計画税に上乗せされる
空き家税は、固定資産税や都市計画税の代わりになる税金ではありません。
従来の固定資産税・都市計画税を納めたうえで、追加で納める税金です。
2市とも、毎年1月1日時点の所有者に課税され、市から届く納税通知書にもとづいて年4回に分けて納めます。
空き家を所有し続ける限り、毎年かかり続ける点が特徴です。
税額の目安として、京都市は「平均的には固定資産税額の約半額程度」と説明しています。
寝屋川市の空き家税は、固定資産税額などをもとに算定した額の35%で、対象になると、固定資産税の負担におおむね3〜5割が上乗せされるイメージです。
「固定資産税が6倍になる」住宅用地特例の解除とは別の制度
「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる」という話は、空き家税とは別の制度です。
住宅が建っている土地は、「住宅用地特例」によって固定資産税が軽減されています。
管理状態の悪い空き家が「管理不全空家」や「特定空家」に指定され、市区町村から勧告を受けると軽減が外れ、土地の固定資産税が大きく上がります。
「6倍」は、軽減率の6分の1がなくなることを指した表現で、2つの制度の違いは次のとおりです。
| 項目 | 空き家税 | 住宅用地特例の解除 |
|---|---|---|
| 根拠 | 自治体の条例(法定外税) | 空家等対策特別措置法・地方税法 |
| 対象エリア | 導入した自治体のみ | 全国 |
| 対象になる条件 | 人が住んでいない(管理状態は問わない) | 管理状態が悪く、勧告を受けた |
| 負担の増え方 | 新しい税金が追加でかかる | 土地の固定資産税の軽減がなくなる |
空き家税は、掃除や草刈りをして適切に管理していても、人が住んでいなければ課税されます。
京都市や寝屋川市で管理の行き届いていない空き家を所有している場合、空き家税と住宅用地特例の解除の両方が重なる可能性もあります。
住宅用地特例
住宅が建っている土地の固定資産税・都市計画税を軽減する制度です。
200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は、固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税の課税標準が3分の1になります。
管理不全空家や特定空家として勧告を受けた空き家の敷地は、特例の対象から外れます。

空き家税はいつから・どこで始まる?導入を決めた2市の最新状況
空き家税の導入を決めているのは京都市と寝屋川市の2市で、いずれも課税はまだ始まっていません。
京都市は開始時期がたびたび延期されており、「2026年から」「2029年から」と紹介している古い情報も残っているため注意が必要です。
京都市「非居住住宅利活用促進税」は2030年度に課税開始予定
京都市の空き家税は、正式には「非居住住宅利活用促進税」といいます。
2022年3月に条例が成立し、2023年3月に総務大臣の同意を得ました。
課税開始は2030年度(令和12年度)の予定で、2030年1月1日時点の利用状況をもとに課税されます。
当初は2026年以降の開始が見込まれていましたが、準備の過程で延期され、直近ではシステム開発の影響により2029年度からさらに1年延びました。
京都市は、空き家や別荘が増えると住宅の供給が妨げられ、子育て世代が市外へ流出する要因になると説明しています。
非居住住宅の所有者に負担を求めて利活用を促し、税収は空き家の活用支援などにあてる方針です。
制度設計時点の見込みでは、対象は約1.5万件、税収は年間約9.5億円とされています。
寝屋川市「空き家流通促進税」は2029年度の開始を目指す
寝屋川市では、2026年7月9日の市議会本会議で「寝屋川市空き家流通促進税条例」が全会一致で可決されました。
市内全域を対象に、空き家の流通促進を目的とした法定外税を導入するのは全国初です。
今後は総務大臣との協議を行い、同意を得たうえで、2029年度(令和11年度)の課税開始を目指します。
寝屋川市は市域が南北約6キロ、東西約4キロとコンパクトで、新たに大規模な住宅開発を行う余地が限られています。
市は、流通していない空き家を持ち続ける人に一定の負担を求め、売却や賃貸といった具体的な行動につなげる仕組みだと説明しています。
なお、課税対象や減免の細かい要件は、市が今後あらためて周知するとしています。
2市以外の空き家は今のところ対象外
京都市・寝屋川市以外にある空き家には、2026年10月時点で空き家税はかかりません。
所有者が2市に住んでいても、空き家が別の自治体にある場合は対象外です。
反対に、所有者が遠方に住んでいても、空き家が2市の対象区域内にある場合は課税されます。
ただし、対象外の地域でも安心はできません。
固定資産税・都市計画税は全国共通でかかり続け、管理が行き届かなくなると、住宅用地特例の解除によって税負担が増える可能性があります。
また、空き家の増加に悩む自治体は多く、2市の取り組みを参考に導入を検討する自治体が出てくることも考えられます。
空き家を使う予定がない場合は、お住まいの地域にかかわらず、早めに行き先を検討しておくと安心です。

空き家税の対象になる空き家・ならない空き家
空き家税は、空き家を所有している人すべてに課税されるわけではありません。
対象になるかどうかは、空き家の所在地、居住の実態、売却や賃貸に向けた取り組みの有無などで決まります。
売却活動中や相続直後は免除・猶予される仕組みもあるため、ご自身の空き家が当てはまるかを確認しましょう。
管理状態や住民票ではなく「居住の実態」で判定される
空き家税の対象かどうかは、「人が実際に住んでいるか」で判定されます。
京都市は、対象となる住宅を「その所在地に住所を有する者がない住宅」と定めています。
住所とは生活の本拠を指し、住民票を置いているかどうかだけでは判断されません。
住民票を空き家に移しても、実際に生活していなければ対象になります。
また、建物の管理状態も関係ありません。
定期的に通って掃除や換気をしている空き家でも、住んでいる人がいなければ課税対象です。
寝屋川市の条例も、空き家を「現に人が居住していない状態にあると認められる住宅」と定めており、考え方は共通しています。
「きちんと管理しているから大丈夫」とはならない点に注意しましょう。
【京都市】市街化区域内の空き家・別荘・セカンドハウスが対象
京都市で対象になるのは、市街化区域内にある非居住住宅です。
いわゆる空き家だけでなく、ときどき利用する別荘やセカンドハウスも、生活の本拠として住んでいる人がいなければ対象に含まれます。
一方、次のような住宅は対象外、または課税が免除されます。
判定の単位は固定資産税と同じで、分譲マンションは1戸ごと、賃貸マンションは1棟ごとに判定されます。
賃貸マンションは、全住戸に居住者がいない場合に限り対象です。
市街化区域
都市計画法にもとづき、すでに市街地になっている区域や、優先的に市街地として整備する区域です。
京都市の場合、固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書で確認できます。
都市計画税の欄が空白になっている家屋は、市街化区域の外にあるため空き家税の対象外です。
【寝屋川市】市場に流通していない市内全域の空き家が対象
寝屋川市では、市内全域の空き家が対象で、京都市のように区域を限定していない点が大きな違いです。
対象は、居住の実態がなく、売却や賃貸など市場に流通していない空き家のうち、条例の要件に当てはまるものです。
つまり、売却や賃貸に向けて動いている空き家は対象から外れ、使う予定もなく持ち続けている空き家が課税されます。
条例では、災害で被害を受けた場合や、一時的に住んでいない事情がある場合などの減免も定められています。
具体的な要件は市が今後示すとしているため、寝屋川市に空き家がある方は、市の公式サイトを定期的に確認しましょう。
売却・賃貸の募集中や相続直後は免除・猶予される
2市とも、空き家を手放す途中の人や、相続した直後の人には配慮した仕組みを設けています。
| ケース | 京都市 | 寝屋川市 |
|---|---|---|
| 売却・賃貸の募集中 | 募集開始から1年以内は免除 | 募集・販売の開始から1年を経過するまで免除 |
| 事業用にする予定 | 1年以内に事業用にする予定がある場合は免除 | 1年以内に着手する予定がある場合は免除 |
| 所有者の死亡(相続) | 3年間の徴収猶予。期間内に利活用すると納税が免除される | 死亡した翌年から3年度分は免除 |
| 一時的な不在 | 転勤(5年以内)、入院・施設入所などは減免 | 一時的に居住していない場合などは減免 |
注意したいポイントは3つあります。
1つ目は、免除や猶予を受けるには申告が必要な点で、何もしなければ、条件に当てはまっていても課税される可能性があります。
2つ目は、募集は一般に広く行う必要がある点で、京都市は、親族や知人だけに声をかけている場合は免除の対象外としています。
3つ目は、免除に期限がある点で、売りに出しても1年を過ぎて買い手が見つからなければ、課税対象になります。
「売りに出しておけば課税されない」とは限らないため、手放せる可能性の高さを重視した方法選びが大切です。

空き家税はいくらかかる?税額の計算方法と目安
空き家税の税額は、建物と土地の価値をもとに計算されます。
計算式は自治体ごとに異なり、京都市は固定資産評価額を、寝屋川市は固定資産税額を基準にしています。
お手元の固定資産税の課税明細書を用意すると、おおよその税額を試算できます。
2市の計算方法と負担の目安を確認しましょう。
【京都市】家屋価値割と立地床面積割の合計
京都市の空き家税は、「家屋価値割」と「立地床面積割」の合計です。
立地床面積割の税率は、家屋の固定資産評価額に応じて3段階に分かれます。
| 家屋の固定資産評価額 | 立地床面積割の税率 |
|---|---|
| 700万円未満 | 0.15% |
| 700万円以上900万円未満 | 0.3% |
| 900万円以上 | 0.6% |
建物の評価額が高く、地価の高い場所にある住宅ほど税額が大きくなる仕組みです。
築年数の浅いマンションや、中心部の別荘・セカンドハウスは負担が重くなり、評価額の低い古い戸建ては負担が抑えられます。
京都市は、公式サイトで税額を試算できるシミュレーション用のファイルを公開しています。
【寝屋川市】固定資産税額をもとに35%を上乗せ
寝屋川市の空き家税は、「家屋割」と「家屋立地割」の合計です。
京都市が評価額を基準にするのに対し、寝屋川市は実際に納めている固定資産税額を基準にしています。
そのため、課税明細書の税額を使って比較的かんたんに試算できます。
家屋立地割は、土地の広さではなく家屋の延べ面積をかけて計算する点がポイントです。
同じ土地でも、建物の床面積が大きいほど税額が増えます。
固定資産税と合わせた年間負担のシミュレーション
空き家税が始まると、年間の負担はどの程度増えるのでしょうか。
2つのモデルケースで確認します。
| 項目 | 京都市の戸建て(試算) | 寝屋川市の戸建て(市の試算モデル) |
|---|---|---|
| 物件の条件 | 家屋の評価額300万円、敷地100平方メートル(1平方メートルあたり評価額10万円)、延べ床面積100平方メートル | 木造2階建て、延べ面積100平方メートル、家屋の固定資産税6万円、土地の固定資産税3万円(地積100平方メートル) |
| 固定資産税・都市計画税 | 約84,300円 | 120,000円 |
| 空き家税 | 36,000円 | 31,500円 |
| 年間の合計 | 約120,300円 | 151,500円 |
京都市のケースの内訳は、次のとおりです。
寝屋川市のケースは、市が公表している試算モデルです。
いずれも年間3万円台の負担増ですが、10年間持ち続けると30万円を超えます。
また、京都市では建物の評価額や地価が高いと税額が大きく増えます。
たとえば、家屋の評価額1,000万円、敷地の1平方メートルあたり評価額30万円、床面積80平方メートルのマンションの場合、空き家税は年間約21.4万円です。
なお、京都市のケースは、固定資産税率1.4%・都市計画税率0.3%と住宅用地特例を前提にした概算です。
実際の税額は物件ごとに異なるため、目安としてご覧ください。

空き家税がかかる前に空き家を手放す方法
空き家税は、空き家を持ち続ける限り毎年かかります。
使う予定のない空き家は、課税が始まる前に手放すと、空き家税だけでなく固定資産税や管理の手間からも解放されます。
課税は1月1日時点の所有者に対して行われるため、引き渡しまでの期間を逆算して動きましょう。
【売りたい】買取業者へ売却する
買取は、不動産会社が空き家を直接買い取る方法です。
買い手を探す期間が不要なため、査定から引き渡しまでが早く、手放す時期の見通しを立てやすい点が強みです。
訳あり物件を専門に取り扱っている業者であれば、築年数が古い・家財道具が残っている・再建築不可であるといった、仲介では買い手がつきにくい空き家でも、現状のまま売却できる可能性があります。
売却価格は仲介より低くなる傾向がありますが、売れ残って毎年の税金を払い続けるリスクを避けられます。
「いつまでに手放したい」という期限がはっきりしている方に向いています。
【売りたい】仲介で買い手を探す
仲介は、不動産会社に買い手を探してもらい、個人などへ売却する方法です。
市場価格に近い金額で売れる可能性があり、駅に近い、築年数が浅い、状態が良いといった空き家に向いています。
売却の募集を始めて申告すると、2市とも開始から1年間は空き家税が免除されます。
ただし、1年を過ぎても売れなければ課税対象になります。
仲介は買い手が現れるまでの期間が読めず、古い空き家では1年以上かかるケースも珍しくありません。
「半年たっても反響がなければ価格を見直す」「期限を決めて買取に切り替える」など、あらかじめ方針を決めて進めましょう。
【あげたい】無償譲渡・空き家バンクで引き取り手を探す
「お金にならなくてもよいので手放したい」という方は、無償譲渡という選択肢があります。
親族や隣地の所有者など、譲りたい相手が決まっている場合は、贈与契約を結んで名義を変更します。
相手が決まっていない場合は、自治体の空き家バンクや、0円物件を扱うマッチングサービスに登録して引き取り手を探せます。
ただし、無償でも受け取る側に贈与税や不動産取得税、登記費用がかかる点に注意が必要です。
また空き家税の対象区域にある物件は、引き取った人が住まなければ、新しい所有者に空き家税がかかります。
「実際に住む人」「事業に使う人」に譲ることが、双方にとって負担の少ない形です。
引き取り手が見つからないまま基準日を迎えそうな場合は、買取への切り替えも検討しましょう。

空き家の買取なら「空き家買取 イエタス」へ!
空き家税が始まる前に空き家を手放したい方は、空き家・訳あり物件専門の買取サービス「空き家買取 イエタス」へご相談ください。
古い空き家や家財道具が残ったままの空き家でも、現状のまま買取が可能です。査定・相談は無料で、査定額に納得できない場合はキャンセルもできます。
イエタスが選ばれる理由は、次の5つです。
京都市・寝屋川市に空き家をお持ちの方はもちろん、2市以外の地域で「固定資産税の負担を減らしたい」「管理が難しくなってきた」と考えている方の相談にものってくれます。
まずは無料査定で、ご自身の空き家がいくらになるのかを確認してみましょう。

まとめ|空き家税は「課税が始まる前」に売る・譲るの判断を
空き家税は、人が住んでいない住宅の所有者に、自治体が独自に課す税金です。
2026年10月時点で導入を決めているのは京都市と寝屋川市の2市で、京都市は2030年度、寝屋川市は2029年度の課税開始を予定しています。
2市以外の空き家は今のところ対象外ですが、使わない空き家を持ち続けると、税金や管理の負担は毎年積み重なります。
「期限までに手放したい」「古くて売れるか不安」という方は、買取による売却が有力な選択肢です。
空き家買取「イエタス」では、空き家に関するご相談・査定を無料で承っているため、気軽に相談してみてください。
この記事の監修者
齊藤 健太(さいとう けんた)
都内の複数の税理士事務所で約15年間にわたり、法人・個人の決算申告や相続税申告、組織再編、国際税務、宗教法人の税務などに幅広く携わっています。2023年に齊藤健太税理士事務所を開業し、税務相談や記帳代行・自計化支援、経営分析、副業の所得税申告などに対応。一人ひとりのお客様と深い信頼関係を築き、信頼できるパートナーとして寄り添うことを大切にしています。
【公式HP】齊藤健太税理士事務所 代表税理士
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